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2011年02月06日

私人 【ブックレビュー】

   
ほんとは、いっぱい書かなくちゃいけないことがたまってるのに、
ちょっとわき道に逸れたくなっちゃう僕の悪い癖です……


僕の敬愛する詩人の一人に、
ロシアの詩人で、ノーベル賞受賞者の
ヨシフ・ブロツキイという人がいます。

友人の紹介で、学生の頃に、
早稲田大学で詩人の荒川洋治氏の講義をもぐりで聴きに行ってた時、

ブロツキイの『私人』という著書(正確には講演内容の記録)
を紹介されたのが、

僕がこの本に出会ったきっかけでした。

-私人 ヨシフ・ブロツキイ-
沼野充義 訳
群像社

これは、1987年、彼がノーベル文学賞を受賞した時の、
受賞講演を収録した本です。

ちっちゃい頃に読んでたピーターラビットの絵本と同じサイズの
とっても可愛らしい装丁のこの本には、

しかし、示唆に富んだ内容がてんこ盛りで、
読んでて熱いものが込み上げてきます。

その中で、非常に興味深いのが、
「解説」で語られている名高い「文学裁判」のことです。

これがとっても面白いんですよ……

ロシア(当時のソ連)では、
ニートや、ぶらぶらしてる連中は「逮捕」されちゃうらしいですね……
怖いね……

ブロツキイは23歳の頃、
定職につかない有害な「徒食者」として逮捕され、
レニングラードで裁判にかけられました。

■ 以下、裁判でのやり取り、本書よりの引用です。
----------------------------------------------------------
裁判官:「いったい、あなたの職業は何なんですか?」
ブロツキイ:「詩人です。詩人で、翻訳もします。」
裁:「誰があなたを詩人だと認めたんです?
   誰があなたを詩人の一人に加えたんですか?」
ブ:「誰も」
(挑発的な態度ではなく)
「じゃあ、誰が僕を人間の一人に加えたっていうんです?」
裁:「でも、あなたはそれを勉強したんですか?」
ブ:「何を?」
裁:「詩人になるための勉強ですよ。
   そういうことを教え、人材を養成する学校に、
   あなたは行こうとしなかったでしょう……」
ブ:「考えてもみませんでした……
   そんなことが教育で得られるだなんて」
裁:「じゃあ、どうしたら得られると思うんです?」
ブ:「ぼくの考えでは、それは……神に与えられるものです」
----------------------------------------------------------

20歳そこそこの若者が、
国家権力を相手に臆することなく、
この裁判での堂々たる受け答え、
見事すぎてびっくりだけど、

同時に、政治権力が詩や文学、芸術を裁く馬鹿馬鹿しさ、
滑稽さも浮き彫りにした裁判記録だと思わされます。

この本には、
この他にも、芸術や人間について考える際の、
珠玉のような言葉が散りばめられていて、

「そうか! そうか! まったくその通りじゃないか!」
って、僕はいちいち感心しながら、感動しながら、
読んでいるのです。

ブロツキイがとにかく、
この講演内容を通して、僕らに訴えかけていることは、
「個人として生きることの意味」のようなことです。

「皆と違う表情」を獲得すること、
「一私人」として生きることが、
立派な会社や組織に属するよりも、
社会的な地位を得るよりも、
ずっとずっと大切なんだよってことです。

それをよく表してる一節、
これは、僕がいろんな場面でよく引用し、
mixiのトップページなんかにも掲載してる文章ですが、

■ また、本書より抜粋して引用いたします。
----------------------------------------------------------
人間に課された仕事は何よりもまず、
自分自身の人生を生き抜くこと。
外から押し付けられた人生、指示された人生は、
それがどんなに上品に見えるものでも駄目なのです。
人生は誰にとっても一度限りのものであり、
それがどんな風に終わるか、われわれはよく知っています。
この唯一のチャンスを他人の模倣のために、
つまり同語反復のために浪費してしまったら、
さぞくやしいことでしょう。
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■ 芸術の存在については、このように語っています。
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もしも芸術が何かを教えてくれるとすれば
(それはまず第一に、芸術家自身に教えてくれるということですが)、
それはまさに、人間存在の私的性格でしょう。
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「僕が僕である為に…」ってどこかの歌でも聴いたことがあるけど、
つまりは、そういうことです。

作品というのは、
僕という個人を認識させてくれるものに他ならない。
特にその他に、メッセージがあるとか意味があるとかではなしに、
それ以上でも、それ以下のものでもないのです。

僕の「ジャンク派」の活動は、
ブロツキイの言葉によって突き動かされたところがあるのも事実ですし、

学生の頃に、この感動的な本に出合えたことを、
ほんとうに感謝しています。

今でも、時折、当時の思いを忘れぬように、
この本を開いてみてるのです。



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posted by チェン・スウリー at 01:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記とか
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