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2007年10月19日

自虐の詩

先日、親友のわたさんが事務所に訪ねて来てくれた。
六本木にライブを観に上京してきたので、そのタイミングで渋谷のぼくんとこにも寄ってくれたのだった。
思い返せば、わたさんはぼくのどん底の時にいつも、そばにいてくれた友。

着くなり、スゴイね筋肉スゴイね…って体をベタベタ触られたのは、何気に恥ずかしかった。(笑)
その昔、渋谷のミニシアターに『ブエノスアイレス』っていう、ウォン・カーウェイ監督の香港映画をわたさんと一緒に観に行ったことがあったが、ホモセクシャルの映画だって知らなかったから、ふたりともあせった!
レスリー・チャンと、トニー・レオンがベットリ濃厚なラブシーンを演っていた…(汗)
周りの観客は、みんな女の子ばっかりで、男2人で観に来てるのは、ぼくらくらいしかいなかったから、「やばいね、ぜったいにぼくらホモだと思われてるよ…」「どう見ても、この状況はホモに見えるよね…」って、冷や汗をかいたことがあった。
いや、けど、もしかして、やっぱり、わたさん……(笑)

いやいやいや…、まぁ、それはそれとして(笑)、この日は「陳くんにみせたい漫画があるんだ」って言って、それを持ってきてくれた。
『自虐の詩』(業田良家 著/上・下巻)だった。
中谷美紀と、阿部寛主演で、映画化されたものがこの秋にロードショーってことは、知ってたけど、原作は読んだことがなかった。

一応、公式ホームページ添付しておきますね。↓
自虐の詩 http://www.jigyaku.com/index.html

わたさん曰く、フェリーニの『道』にモティーフが似てるらしい。
モティーフなんて、インテリ用語使っちゃって。(笑)
ウソ、別にいいよねそんなことは、美大卒の日常語だよね?(笑)
フェリーニは、ぼくが特別に熱く入れ込んでるイタリアの映画監督。
もちろん、わたさんはそのことをよく知ってくれているし、先日の日記の、アンダーグラウンドな世界でたくましく生きていってる若者を擁護する立場の記述と、タイムリーなものを感じて、持ってきてくれたとのこと。
ありがとう!

わたさんが帰ってから、さっそく事務所で上巻を読み終えた。
で、帰りの電車の中で、下巻を…
ヤバかった!
読み進むうち、もう、エンディングに差し掛かるとこで、涙があふれだして、周りの人がビックリしちゃうくらいの勢いでウォンウォン泣いてしまった…

元ヤクザのイサオと、元ホステスからシャブやって落ちるとこまで落ちて売春婦のポン引きやってた幸江さんのお話し。
それが、4コマ漫画で、淡々と語られている。
しかも、ギャグ漫画というスタイルで。
上巻は、まるまるギャグ漫画。けど、これがすべてラストのクライマックスに到達する伏線になっている。
こんな描き方があるんだってことにびっくり!
内田春菊さんも解説に書いてたけど、まあ確かにこの内容で劇画タッチの語り方なら、そうとうシリアスで重た過ぎで嫌な話しになってたかもしれない。
その素材を4コマで軽々、独特の引いた視線でクールに描いたところに、この感動はある。

何が不幸で、何が幸せか…
愛情ってものの側面って言うべきか、ぼくらの普段感じているのよりも、もっともっとシンプルな一面って言うべきか。
そんなものを、しみじみ感じさせてくれる味わいがある。

わたさんは、スポットの当て方って、ほんとうに大事だよね、って言った。
陳くんが大切にしている、地べたを這ってるような生きかたをしている人たちを、幸せにしてあげれるような作品を創ってほしい、そういうスポットの当て方をしてほしいって言ってくれた…

ほんとうにそうだなって思う。
ぼくが、フェリーニに救われたって思ったみたいに、JUNKが誰かにとっての救済になってくれたなら、こんな喜びは他にない。
特にアートだのサブカルチャーだのに興味を持ってるでもない、例えば歌舞伎町のホストや、キャッチや、水商売の人たちにも、きちんと伝わるカルチャー雑誌であることが、ぼくの大切にしているコンセプトでもある。


次の日、川崎のビジネスホテルに一泊して、JUNKの原稿を書いた。
京浜工業地帯で有名な川崎には旧東海道沿いに、堀之内と南町という関東では屈指の一大ソープ街が形勢されている。
昔からの工業地帯っていうのは、北九州の小倉もそうだけど、なんとなく柄の悪い街(失敬!)の印象がある。
けど一方で、神戸のサンチカみたいな地下街があったり、神戸のトアロードみたいな明るい大きな目抜き通りがあったり、駅に隣接した妙にオシャレっぽい出来たてでピカピカの巨大なモールや、チネチッタ川崎といったアベック受けしそうな施設があったりする。

チネチッタっていうのは、イタリアでいうハリウッドのような映画の撮影所の街。
チネチッタ川崎も、これを下敷きにイタリアっぽい雰囲気づくりをしている。

フェリーニは、その作品のほとんどをイタリアのチネチッタで撮影した。
フェリーニと言えばチネチッタ、チネチッタと言えばフェリーニ、だから、このチネチッタ川崎にもイタリアの産んだこの巨匠に敬意を払ってのことか、フェリーニ映画の名場面(『甘い生活』のアニタ・エクバーグなど)の大きな写真が、たくさんかかげられている。
けど、ここを訪れる人の多くは、そんなの見ても、ああフェリーニだ!なんて思いを寄せたりはしていないだろうし、ほとんどの人は、なんの映画の写真かなんて知らないんだろうな…
けど、このチネチッタが川崎にあるっていうのが、妙にマッチしている。
それは、フェリーニはそのすべての作品で、登場人物のパターンが決まっていて、詐欺師、ペテン師、道化師、娼婦、犯罪者、等など社会の底辺で生きているような人々を描いているからだ。
あんまり柄が悪いってこと強調し過ぎちゃうと、川崎の人に失礼かな…
ここら辺でやめとこ…

ぼくは、尊敬する人のゆかりの地に、たびたび足を運びたくなる癖みたいのがある。
詩人の中原中也が好きでたまらなかったから、高校時代には、毎晩のように中原中也の墓地に通っていた。
夜の墓場に通うなんて、中世に生きてたら間違いなく「魔女裁判」で火あぶりの刑にされてたことだろう…
けど、さすがにフェリーニが好きだからと言っても、イタリアのチネチッタに通うことはちょっと困難なので、せめてチネチッタ川崎ならってことでターゲットになっている。
ものを創作するときには、場所のもってるパワーをかりることってとても大事なことらしいよ。

よく並べ称される同じ巨匠でも、「クロサワ」のみたく「正義感」を前面に出した作風って、ぼくはちょっと苦手だ…
『羅生門』や『七人の侍』の長い長いお説教のようなセリフのとことか、悪いけど、早送りしちゃうもん。
フェリーニは、人間の罪を描きながらも、これが悪なんだっていうふうに、これっぽっちも断罪していないのがいい。
「フェデリコ・フェリーニ…」ああ、声に出してみても素敵な名前だ。

ぼくは、フェリーニになりたい!
けど、所詮、自分は自分以外の何者にもなることはできない。
そんなことは、わかっている。

しかし、ぼくは自分自身と、フェリーニや中原中也とを同一視するようなことがある。
自分が数年の内に中原中也賞をとることは、まず間違いないと信じて疑っていなかったり、女の人の好みとか、魔術師的なものに惹かれるとことか、なんでこんなに自分はフェリーニに似てるんだろうなんて思ってみたりしている。
傍からみたら、天才と自己のイメージを重ねるなんて自惚れはなはだしいって思われることだろう…
けど、そこからパワーを得ている部分がぼくにはある。
創作で生きていこうってぼくに決心させたのも彼らだ。
自分を信じてないと、孤独な闘いを貫くこういう仕事は遂行できないだろうし。

JUNKのことや、ぼくの理想のことなど、いつの日か振り返ってみたら、この日記に書き付けたことが、実現していたっていうふうになっていたいものだ。
言ったからには、具体的に行動にしていかなくちゃいけないしね!

「フェリーニになりたい!」
そんな胸の内の思いをまたふつふつと甦らしてくれた『自虐の詩』だった。

わたさん、ありがとうね!

http://t-elegan.jp
posted by チェン・スウリー at 02:11| Comment(0) | TrackBack(8) | 日記とか
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